上尾市長宛に自衛官等の組織募集の中止などの要望書提出
上尾市平和委員会は、9月20日午後2時に、上尾市役所広報広聴課を訪れ、上尾市平和委員会、新日本婦人の会上尾支部、原水爆禁止上尾市協議会、上尾桶川伊奈労働組合連合会の4団体連名による上尾市長宛の「上尾市における『自衛官等の組織募集』の中止と空の安全を求め、上尾市の平和行政の取り組みを求める要望書」を提出しました。
要望書の内容は以下のとおりです。
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上尾市における「自衛官等の組織募集」の中止と空の安全を求め、上尾市の平和行政の取り組みを求める要望書
上尾市長 畠山 稔 様
2025年度の防衛予算は、概算要求で8.5兆円に達する見通しです。これは、2022年12月に閣議決定され、翌年に国会で決定された「国家安全保障戦略」、「国家防衛戦略」、「防衛整備計画」(いわゆる安保3文書)の改定にもとづくもので、2023年から5年間で43兆円という防衛費を捻出する方針に沿ったものです。この予算で装備するミサイルなどは、相手国の領域内にあるミサイル発射手段等を攻撃する能力を「反撃能力」と称して先制攻撃をする武器であり、自衛隊が、専守防衛という建前から、先制的に敵国に攻撃を仕掛けるものへと変わったことを表しています。
また、今年の4月の日米首脳会談において、自衛隊と米軍の「シームレスな統合」と称し、米軍の指揮統制下に自衛隊を組み込むことが合意されました。これにより米軍の軍事戦略に日本が巻き込まれる危険性がますます高まりました。安保法制の下、日本に対する武力攻撃や、「攻撃に着手」したとみなされる事態がなくとも、「我が国と密接な関係にある他国」に対する武力攻撃が発生した場合に集団的自衛権の行使ができようになっていることを考えれば、日本に一切攻撃を行っていない、行おうともしていない他国に、米軍と共に日本から先制攻撃を行う事態が想定され、平和への脅威がますます強まっているといえます。
このような中、自衛官の「賭命義務」がますます現実的なものとなり、それを忌避することでの慢性的な自衛官不足が続いています。そのために、自衛隊は、法定受託事務を法的根拠として、自衛官募集を推進する目的でさまざまな募集事務の依頼を地方自治体に要請してきています。法定受託事務は一律強制ではなく、本来各自治体の自主的判断に委ねられているものです。上尾市は、非核平和都市宣言、そして日本国憲法を遵守する立場から、また個人のプライバシーを守る意味でも、住民の命と暮らしを守る防波堤の役割を果たすべきですし、自衛隊からの自衛官募集事務に一切応じる必要はありません。
さらに、構造的な欠陥が指摘されているオスプレイを始めとする米軍機や自衛隊機の訓練が増大しており、上尾市でも低空飛行による騒音、振動、部品落下の危険、墜落の恐怖などがますます強まってきています。
戦後の日本国憲法は、都道府県市町村が戦争遂行の末端組織として利用された戦前の痛苦の反省の上に、国とは独立した地方自治を平和と民主主義実現における重要な柱の一つにすえました。このもとで、国の政策に従属するかたちではなく、地方自治体の意思として全国9割にのぼる自治体で「非核平和都市宣言」がおこなわれてきており、「戦争に協力する事務は行わない」ことも明記されています。
私たちは、次世代に平和を引き継ぐ立場から、安全に平和に生きる権利が保障される市民参加の市政を願い、下記事項について要望いたします。
2024年9月20日
上尾市平和委員会
新日本婦人の会上尾支部
原水爆禁止上尾市協議会
上尾桶川伊奈労働組合連合会
連絡先:岩田眞智090-7170-0958
記
①平和首会議に参加している上尾市として、核兵器のない世界の実現をめざし、国に核兵器禁止条約の早期批准を求めてください。
②個人情報保護のため、自衛官募集対象年齢の名簿を本人の同意なく閲覧させないでください。
③市役所・公共施設等の掲示板に自衛官募集のポスターを掲示しないでください。
④「広報あげお」への自衛官等の募集記事の掲載をやめてください。
⑤自衛隊埼玉地方協力本部さいたま地域事務所からのポスター掲示の依頼を、市の責任で、断ってください。
⑥市ホームページで自衛隊埼玉地方協力本部へのリンクを行わないでください。
⑦産業祭の主旨に合わない自衛官等の募集をしないでください。また申し込み団体ではない現職自衛官は参加させないよう産業祭実行委員会に助言してください。
⑧オスプレイをはじめ米軍機や自衛隊機が、訓練等のため上尾上空を飛行していきます。住宅密集地の飛行をやめさせてください。
⑨上記の要望事項についての懇談をおこなってください。