上尾市平和委員会は、2025年11月30日投開票の上尾市長選挙に際し、11月8日、立候補を予定されている3氏=畠山稔(はたけやま・みのる)氏/現市長、田島純(たじま・じゅん)氏、小内克浩(こない・かつひろ)氏にたいし、上尾市における平和と安全にかかわる取り組みについてのお考えをお尋ねする公開質問状を提出し、回答を依頼しました。
 これについて3氏からさっそく回答が寄せられましたので、公開質問状と付属資料、および回答内容(到着順で掲載)をここに公開いたします(2025/11/18)。


 上尾市ではこれまで平和事業として「非核平和パネル展」、「憲法手帳」の配布、「核兵器禁止条約」の早期締結を求める署名リンクなどを行ってきていますが、上尾市も加盟メンバーである「平和首長会議」が提起している多くの重要な取り組み課題(資料1)にそった、より旺盛な取り組みが求められると感じます。また、現在の「上尾市非核平和都市宣言」のめだたない2ヶ所のプレートだけでなく、他市のような「非核平和都市宣言」(資料2)の宣言塔や垂れ幕を堂々と掲げるべきであると考えます。
 「新しい戦前」とも言われるきな臭い動きが強まる中、戦争の悲惨さや平和の大切さを広く伝え、非核・平和と安全を求める思いを広げ、高めていくことが、戦後80年を迎えた今、ますます求められていると感じます。
 平和憲法のもと、住民のいのちと暮らしを守ることが究極の使命である地方自治体の長として、国の意向におもねることなく、戦争準備や武力行使に反対し、すべての核兵器の廃絶をめざし、憲法の平和主義にもとづく平和行政の推進にさらにつとめていただきたいと強く願うものです。

[回答]

畠山 稔氏
 平和事業に関しては、平和市長会議加盟自治体として、「非核平和パネル展」の開催、「憲法手帳」の配布、「核兵器禁止条約」の早期締結を求める署名リンクなどをとおし、一人でも多くの皆様に平和意識が醸成されるよう努めております。
 今後も「平和の尊さ」や「戦争を二度と繰り返さない」という強い思いを次世代に伝えていけるよう努めてまいります。

小内 克浩氏
 戦後80年が経過し戦争の記憶が薄れつつある現在、平和のかけがえのなさを次世代に語り継ぐ取り組みが必要です。上尾市が1985年に策定した「上尾市非核平和都市宣言」の存在を市内外に周知する、上尾市が作成・配布している「憲法手帳」の存在を市民に周知する、地域における戦争の記憶を保存し次世代に継承する等の政策に取り組みます。また、中学生を対象に被爆地への平和学習派遣事業を実施しているさいたま市の取り組みなども参考に、平和教育に積極的に取り組みます。

田島 純氏
 平和行政の推進は極めて重要な課題であると認識しております。平和市長会議加盟自治体として、いただいたご意見を真摯に受けとめ、市民の皆さまの安心と安全を守り、未来の上尾市へと繋げていくべく、施策の充実に努めて参ります。

 上尾市はこれまで、現在の県内ほとんどの自治体と同じく、自衛官組織募集の中心的な業務である募集対象者情報のデータ・紙媒体による提出には応じない姿勢をとり、自衛隊からの組織募集委託費の用途も「広報あげお」への掲載のみの最小限にとどめる方向となってきました。法的根拠もない、以前の高等工科学校の募集についてもおこなわないなど、自衛官の組織募集業務について長年の懇談で私たちが申し入れてきた方向に姿勢を変えてきています。
 なにより念頭におかなくてはならないのは、集団的自衛権行使容認のもとで、現在の自衛隊は日本の自衛の枠を超えて、アメリカの思惑のまま海外派兵をともなう戦争に加担する役割を負わされ、上尾の若者が自衛官になることで、その「戦地」に駆り出され、人を傷つけ、自らの命も奪われる危険にさらされることとなります。海外で「殺し殺される」若者を上尾から一人たりとも出さない、これは私たち上尾市平和委員会が創立以来もっとも大切にしている思いであり、多くの上尾市民の願いでもあると考えます。
 「上尾市非核平和都市宣言」にも表された恒久平和と安全への願いにもとづき、憲法違反の「戦争に協力する事務」はおこなわない、海外の戦場や自衛でもない戦争に若者を送り出す手助けを上尾市はしないという立場で自治権を行使し、自衛官の組織募集には協力しないでいただきたいと願うものです。

[回答]

畠山 稔氏
 市町村長は、自衛隊法第97条第1項により、自衛官及び自衛官候補生の募集に関する事務の一部を行うとされており、自衛官及び自衛官候補生の募集に関する広報宣伝については、自衛隊法施行令により、第一号法定受託事務とされております。

小内 克浩氏
 自衛官の募集業務には、日本国憲法や法令の範囲内で協力します。住民基本台帳に記載された個人情報を紙媒体やデータで自衛隊に提供することについては、上尾市も埼玉県内の大半の自治体も応じてきませんでした。個人情報の紙媒体やデータでの自衛隊への提供は、これを許容する法的根拠を欠いていることから、これまでと同様に実施する予定はありません。

田島 純氏
 地方自治法および自衛隊法に基づき、自治体協力義務が定められている範囲については、適切に対応してまいります。

 上尾市は米軍横田空域の米軍機訓練ルートにふくまれており(資料3)、オスプレイをはじめとする米軍機や自衛隊機が訓練等のために上尾上空を飛行しています。このため上尾の空は、各地で起きているような事故がいつ起きても不思議ではない危険な状態にあります。
 上尾上空、住宅密集地の飛行を止めさせるために、飛行実態の詳しい調査・掌握や飛行中止の申し入れなど、具体的な対策と取り組みを願うものです。

[回答]

畠山 稔氏
 市が独自に飛行実態の詳しい調査·掌握等を行うことは難しいと考えますが、市民の皆様からいただきましたご意見につきましては、引き続き北関東防衛局、埼玉県に伝えてまいりたいと考えております。

小内 克浩氏
 米軍機の上尾市上空の飛行について市民から不安等の訴えがあった場合には、市としても市民のご意見を真摯にうかがいます。北関東防衛局や埼玉県などと連携し、市民の不安解消に努めます。

田島 純氏
 市民の皆さまからいただいたご意見に関しては関係機関と適切に連携していきます。

 上尾市はこれまで毎年、上尾市平和委員会の要望書への回答とそれにもとづく懇談をつづけてきましたが、毎回、懇談の場への市長の出席を求めてきたにもかかわらず、これまでに市長が出席されることは一度もありませんでした。
 今後、平和と安全に関する住民との懇談の場を広く設け、自治体の長としてみずから出席し、住民の声を直接聞き、懇談していただきたいと願うものです。

[回答]

畠山 稔氏
 貴委員会の要望については、担当部署をとおし、その内容を確認しております。今後も皆様からのご要望につきましては、今まで同様きちんと拝見させていただきます。

小内 克浩氏
 私は、市民と政策対話を通じた合意形成を何よりも大切にする市政という理念を掲げています。市民とのタウンミーティングを定期的に開催し、「市民と市長との面会日」を設けるほか、団体等から懇談の申し入れがあった場合には、どのような団体であっても積極的に懇談に応じます。

田島 純氏
 市民の皆さまからご意見をいただいたものについては適切に判断、また対応していきますのでよろしくお願い致します。


 以下は、公開質問状に付属して提出した資料(3点)です。

資料1]
平和首長会議行動計画(2025年—2029年)より

 平和首長会議は、1982年の設立以来、被爆者の平和への願いを原点に核兵器廃絶と世界恒久平和の実現に向けた国際世論の形成と都市間の連帯を推進し、現在、166か国・地域の約8,500都市が加盟する平和都市のネットワークとなっている。

 近年、国際社会においては、核兵器使用のリスクの高まり、戦争や武力衝突による一般市民への被害の深刻化、気候変動をはじめとする環境危機など、平和を脅かす事象が一層顕在化している。こうした地球規模の課題に対応していくために、市民に最も身近な存在である自治体の役割は、ますます重要性を増しており、都市レベルからの継続的かつ協働的な取組は、国際社会全体の持続的な平和構築に向けた重要な基盤となる。

 こうした背景のもと、平和首長会議は2021年、「核兵器のない世界の実現」、「安全で活力ある都市の実現」、「平和文化の振興」という三つの目標を柱とする「持続可能な世界に向けた平和的な変革のためのビジョン」(略称:PXビジョン)を策定し、加盟都市が相互に連携しながら、その実現に向けた取組を着実に進めてきたが、我々が目指してきた平和からは程遠い現実に直面している。

 こうした危機的な状況を打開していくため、PXビジョンに基づく第2期の計画となる本行動計画(2025―2029)は、現行動計画をさらに発展・深化させるため、すべての加盟都市が、それぞれの地域の実情に応じて、具体的な活動を主体的に展開できるよう、実施体制の整備とネットワークの強化を図っていくこととしたい。

 特に、被爆80周年という歴史的な節目からスタートする本計画では、被爆者の平和への願いを原点とする平和首長会議として、被爆者の高齢化という現実を踏まえ、被爆の実相とその声を次世代へ継承することをこれまで以上に重視する。若い世代の育成と平和への取組への参画は、その継承の鍵を握っており、被爆や戦禍の実相の発信とあわせて、これらの取組を重点的に推進していく。

 加盟都市において、取組を進めるに当たって、本計画では、PXビジョンの三つの目標の実現に向けた行動の理念として、加盟都市が共有する三つの視点「VOICE(声を上げる)」「LINK(つながりを築く)」「PEACE(文化として平和を育てる)」を提示する。これらのキーワードは、市民と都市がそれぞれの立場から声を上げ(VOICE)、相互に連携・協働しながら(LINK)、平和を育む(PEACE)という、市民社会に根付いた取組を進めていく姿勢を示すものであり、加盟都市が地域から世界へと平和の価値を押し広げていくための行動理念である。

 また、こうした取組を効果的に支えるために、都市ネットワークとして「RISE(飛躍する)」 というキーワードのもとに、加盟都市間の連携や組織の基盤を強化し、すべての加盟都市が主体的に参画できる体制の整備を進めていく。

 以上のとおり、本計画は、PXビジョンの理念を具体的な行動に落とし込み、すべての加盟都市と市民が連帯し、平和な世界の実現に向けた歩みを力強く進めていくための道筋を示すものである。

核兵器のない世界の実現に向けた取組

[行動計画における目標] 被爆の実相と核兵器の非人道性への理解を促進し、核兵器禁止条約(TPNW)の批准国拡大と核兵器廃絶に向けた国際世論を醸成する。

[行動理念]VOICE-市民の声を核兵器廃絶の国際世論へ
V – Voices of Hibakusha : 被爆者の思いの継承
O – Outreach for TPNW Supporta : 核兵器禁止条約への支持拡大
I – International Advocacya : 国際社会への働きかけ
C – Citizen Actiona : 市民による行動
E – Encourage Policy Changea : 政策転換を後押し

[V– Voices of Hibakusha]
[取組1]被爆の実相と核兵器の非人道性への理解の促進【重点】
①世界各地での平和首長会議原爆ポスター展の開催【拡充】
 加盟都市は、より多くの市民に、被爆の実相や核兵器の非人道性について理解を深め、核兵器廃絶への思いを共有してもらうため、公共施設や教育機関等において原爆ポスター展等の展示を開催する。

②被爆体験講話の聴講を通じた被爆体験の継承【拡充】
 加盟都市は、より多くの市民に、被爆者の体験と核兵器廃絶に向けた切なる願いを受け継ぎ、行動してもらうため、事務局の支援の下、オンライン等により被爆体験講話を聴講する機会を提供する。

[O– Outreach for TPNW Support ]
[取組2]核保有国及びその同盟国を含む全ての国の核兵器禁止条約の批准国拡大の促進
①核保有国及びその同盟国を含む全ての国の早期締結を求める要請活動の展開
 加盟都市は、核保有国及びその同盟国を含む世界各国の核兵器禁止条約の早期締結や締約国会議へのオブザーバー参加を求める要請文の提出などの要請活動を行う。また、核兵器禁止条約の批准国の拡大に向けた公開書簡を、各国政府とりわけ核保有国及びその同盟国宛てに発出する。

②グローバルヒバクシャとの連帯
 平和首長会議として、核実験や核関連被害を受けた世界各地のグローバルヒバクシャと交流し、その声や体験を共有することで、核兵器の非人道性への理解を広げ、国際的な連帯を深める。

[I– International Advocacy ]
[取組3]国連・各国政府への核兵器廃絶に向けた要請・働き掛け
①核軍縮に関する国際会議における都市の立場からの発信
 平和首長会議として、NPT再検討会議や核兵器禁止条約締約国会議等の核軍縮に関する国際会議に出席し、会議での発言や国連・各国政府関係者との面会、各種イベント開催の機会を捉えて、核兵器禁止条約への支持を含め、核軍縮の取組の強化や進展を求める活動を行う。

②核兵器と戦争のない世界を目指す公開書簡の発出
 平和首長会議として、核軍縮や安全保障に関する重要な局面に際し、国連・各国政府に対して、核軍縮や平和への取組を求める公開書簡を発出する。

③加盟都市による自国政府への核兵器廃絶に向けた貢献を求める要請活動の展開
 加盟都市は、それぞれの自国政府に対して、核兵器廃絶に向けて貢献するよう求める要請文の提出などの要請活動を行う。

[C– Citizen Action]
[取組4]幅広い層の市民による核兵器のない世界を目指す行動
①「核兵器禁止条約」の早期締結を求める署名活動の展開
 核兵器禁止条約は、被爆者をはじめとした多くの人々の核兵器廃絶への強い願いが実を結んで発効した世界恒久平和の象徴とも言うべきものである。この条約の意義を踏まえ、加盟都市は、核兵器はこの世に存在してはならない「絶対悪」であるとの民意を世界中に広げ、為政者の政策転換を促すため、市民と協力して全ての国に同条約の早期締結を求める署名を集める。 また、事務局は、加盟都市の取組を支援するとともに、署名を取りまとめ、核軍縮に関する国際会議への出席等の機会を捉えて、国連関係者に届ける。

②若い世代を中心とした市民交流の促進
 加盟都市は、核兵器の非人道性や被爆の実相への理解を深めるとともに、核兵器のない世界の実現に向けた次世代の行動原理となるよう、被爆者の平和への思いを確実に継承し、若い世代を中心とした市民の相互交流を促進する。

[E – Encourage Policy Change]
①核兵器を巡る世界情勢に関する啓発の推進
 加盟都市は、核兵器の非人道性や使用による壊滅的な被害、そして自国優先主義に基づく核抑止依存の安全保障政策の限界について、市民の理解を深めるための啓発活動を実施する。こうした取組を通じて、市民の間に核兵器廃絶への共感と関心を広げ、政策転換を後押しする世論の形成を図る。

②核軍縮に関する研究、教育、人材育成への支援
 事務局は、ヒロシマ平和研究教育機構や長崎大学核兵器廃絶研究センター(RECNA)、国連軍縮研究所(UNIDIR)などの国際的な平和研究機関と連携して、核軍縮、軍備管理等に関する研究、教育、人材育成への支援を行う。また、核兵器に関する最新の知見や情勢分析をわかりやすくホームページ等で発信し、加盟都市の啓発活動を支援する。

https://www.mayorsforpeace.org/wp-content/uploads/2025/file-2508-Adopted_Action-Plan_J.pdf


資料2]
上尾市非核平和都市宣言
(昭和60年8月15日宣言)

 世界の恒久平和と安全は、人類共通の願いである。
 しかし、今なお、多くの核兵器が造られ、世界の各地で武力紛争や戦争が絶えない。
 わが国は、世界唯一の被爆国として、全世界の人々に被爆の恐ろしさ、被爆の苦しみを訴え、再びこの地球上に被爆の惨禍を繰り返させてはならない。
 われわれは、生命の尊厳を深く認識し、わが国の非核三原則が完全に実施されることを願い、すべての核保有国に対し、核兵器の廃絶と軍備縮小を求めるものである。
 よって、被爆40周年に際し、上尾市は戦争のない、住みよいあすの世界を願い、ここに「非核平和都市」の宣言をする。


資料3
米軍機訓練ルート